- メイド・イン・アースがいま考えていること
- 2011/02/18
ものづくりへの想い、伝えたい!
メイド・イン・アースのデビュー後、瞬く間に時は過ぎていきます。商品開発、卸売を行うなかで、いつしかスタッフの間で「お客さまが全製品を体験できる場がほしい。直接私たちの思いを伝えたい」という思いが募ります。イベント出店、イ […]
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メイド・イン・アースのデビュー後、瞬く間に時は過ぎていきます。商品開発、卸売を行うなかで、いつしかスタッフの間で「お客さまが全製品を体験できる場がほしい。直接私たちの思いを伝えたい」という思いが募ります。イベント出店、インターネット通販への出店を経て、2007年、ついに東京・自由が丘に直営店をオープン。一歩ずつ夢を実現してきた、その先にあるものは……。
チーム・オースリー代表取締役・前田剛、取締役前田けいこが語る、メイド・イン・アース物語、第2話の始まりです。
(>第1話のリンクはコチラ →◎子どもの笑顔に関わる仕事がしたい……そこが原点。)
●イベントで直接お客さまの声を聞き、商品に反映させる。
ーーメイド・イン・アースは、毎年実に多くのイベントに参加してプレゼンテーションやワークショップ、販売活動をしていますね。
前田剛: 全国各地のイベントに出展するようになったのは、2000年ごろからです。今では毎年代々木公園で行われるアースデイ東京やアースガーデンを始め、ap bank fes、FUJI ROCK FESTIVAL、土と平和の祭典、エコプロダクツ展、各地で開催されるファーマーズマーケットやオーガニックショーなど、大小さまざまなイベントに参加しています。年間20以上はあるでしょうか。そのほかにも、お得意先で布ナプキンづくりのワークショップを開催するなど、小規模イベントも多数です。
ーーこれほど多くのイベントに出る理由とは?
前田剛: 私たちがどのような思いで商品をつくっているのか、その思いを直にお客さまに伝えられるのがいちばん大きいですね。また、オーガニックコットンのよさを感じるには、とにかく直接肌でふれてみることがいちばん。実際に袖を通したり、寝てみたりすると一般的な綿製品との違いに驚かれる方がとても多いです。そして化学物質に対してデリケートな方にも、においを嗅いだりさわっていただいて、「これなら大丈夫」と感じていただく機会を設けたかったからです。
なぜオーガニックコットン製品の値段が高いのか? ということを聞かれることもありますが、それには理由があります。農薬や化学肥料を使わないので生産に手間がかかる。有機認証にはコストがかかる。メイド・イン・アース製品はすべて国内の工場でつくっていて、製造工程を合理化するための化学合成薬剤を使わずに製品化しています。縫い糸もすべてオーガニックコットン糸。そういった理由をご説明することで、決して割高ではないということを理解していただいてお客様にご愛用いただいています。
前田けいこ: お客様との会話から、新たな発見があります。例えば、イベントでは布ナプキンの使い方を説明することが多いのですが、逆に長年使ってくださっているお客様から、その方がどのように工夫して布ナプキンを使っているのかを教えていただくことがあります。商品の使い勝手についてのご意見や、こんなアイテムをつくってほしいという要望を聞くこともあります。これはまさに「生の声」で、私たちにとってはたいへん貴重な宝物です。これらの声を反映させながら、新しいアイテムの開発や、製品改良などにつなげています。
前田剛: ほかにも、エコロジー雑貨を開発・販売する業者同士でエコ雑貨協同組合(エコ雑貨倶楽部)を設立し、イベントに共同出展したり、アースデイ東京でも運営に関わりたくさんの仲間ができました。イベントからのつながりでこのような仲間ができるのも大きいですね。
●全商品を体験してもらう場がほしかった。
ーーメイド・イン・アースの直販店を持ちたい、と思うようになったのはいつごろですか?
前田剛: ブランド設立当初は、主に自然食品店への卸を中心に販売活動を行っていました。メイド・イン・アース製品の取扱店は徐々に増えていき、今では全国に300店舗ほど。お得意先の方々には温かく受け入れていただき、とてもありがたく思っています。
私たちが直営する最初の店舗は、インターネット通販の楽天市場で、出店したのは1999年11月。楽天市場創設3年目、まだ1000店舗にも満たない、かなり早い段階でした。出店当初はアクセスと売り上げの相関関係がよくわからず、出店したもののなかなか売り上げがあがらないという時期も。そのうち、遠くにお住まいの方にも買っていただける、あるいは化学物質過敏症などで買い物に行かれない方に求められるようになり、少しずつ軌道にのってきました。海外に住んでいる日本人や、海外の友人へのプレゼントなどのニーズもあり、かなり早い段階から海外発送も行ってきました。
ーー今でこそオーガニックコットン製品を扱う企業が増え、一般消費者へも認知が広がってきましたが、メイド・イン・アースの商品が受け入れられるようになったのは、いつ頃のことでしょう。
前田剛: オーガニックに対する社会的なうねりを感じるようになったのは、2003年ごろ。スローライフやロハス(LOHAS=Lifestyle of Health and Sustainable、健康と持続可能性を両立させたライフスタイルのこと)が叫ばれるようになったのとほぼ時を同じくして、私たちも本社を築地から自由が丘に移転し、会社のあるビルにメイド・イン・アースの全製品を体験できる直営のショールームをつくりました。そのころには会社でも広告の仕事からメイド・イン・アース事業一本にしぼっています。
前田けいこ: 2007年には自由が丘に念願の直営店「ホーム・ルーム」をオープンすることができました。そこには常時スタッフがいて、メイド・イン・アースの全商品を手にとり、買うことができます。ベッドに寝てみて中綿までオーガニックコットンの枕やおふとんの心地よさを感じてみることができ、気に入った肌着にも袖を通して鏡で確認できるよう、試着室もご用意しております。それに、オーガニックコットンを求める方には小さな赤ちゃんのお母さんが多い。安心してご来店いただけるよう、授乳室やおむつを替えられるコーナーも設けました。
今年10月にはテナントビル「コピス吉祥寺」内に直営2号店がオープンしました。自由が丘店は駅から5分ほど歩くので、「メイド・イン・アースの商品がほしい!」と目的を持ってやってくる人が多いのに比べ、吉祥寺店はテナントビルの一角にあるため、道すがらの人がふらりとやってきて、布ナプキンに目をとめ、そこからオーガニックコットンの魅力にはまる、というケースも多いですね。
●グリーン経済を引っ張って、社会に価値を広めていきたい。
ーーメイド・イン・アースの事業は、グリーン・ビジネスの最前線と言えますね。
前田剛: 正直言うと、無我夢中でここまできた、という感じで、グリーン・ビジネスを切り拓いてきた、そこまでのことを言える自負はないんです。ただ、1995年にオーガニックコットン製品をつくっている会社は日本では数少なかったし、ましてや製造工程までオーガニックにこだわるところとなると稀。そういった意味では、もしかしたらお客様やお得意先を始めとする方々がそれを認めてくださっているのかな、とは思います。これからは、パイオニアの自覚と責任を意識して、社会をリードしていくくらいのつもりで企業活動を行っていきたい、そんなことを改めて感じるようになりました。
ーー今後、会社として取り組んでいきたいプロジェクトは?
前田剛: まずは、メイド・イン・アースのオーガニックコットン製造工程の自主基準を、取引先やお客さんなど、広く一般にアピールしていきたいと考えています。
詳しくは次回お話ししますが、メイド・イン・アースではオーガニックコットン製品製造工程の自主基準を定めています。それがどのようなものなのか、誰が見ても明確にわかるようにしていきたいと思っています。
また、オーガニックコットンの産地の状況や、農薬による生産者への健康被害などの社会問題を伝えていくことで、産地の状況改善や、消費者の意識改革につなげていければと考えます。
「NPO法人地雷原を綿畑に! Nature Saves Cambodia!」とのコラボ商品「WITH PEACE」はその一つ。カンボジアの地雷原だった畑にオーガニックコットンを植えることで、オーガニックの農地を増やしていくこと、地雷原の近くに暮らす人々の職業を確保すること、おばあちゃんたちのコットンの手つむぎの技術を伝えていくこと。それが地雷被害者の就労支援につながり、子どもたちには教育の機会が与えられる。「オーガニックコットンを選んでいただくことで、子どもたちの笑顔が増える」、まさに私たちの企業活動の原点とも言える活動です。
前田けいこ: 今後も新しくオーガニックコットン製品を企画、開発していくことはもちろんですが、それを取り巻くアイテム、例えばオーガニックコットンをしまう家具、オーガニックコットンの寝具を支えるベッドなども充実させていきたい。オーガニックコットンをしまうタンスが、化学物質がたくさん含まれている合板では、なんだかもったいないですから。いつの日か、メイド・イン・アースの家をつくれたらいいなあと、夢はどんどん広がります。
また、布ナプキンファンクラブをつくり、手づくりのワークショップや布ナプの使い方の情報交換など、お客さんと直接交流できるイベントも主催したいと思います。
前田剛: 最終的には、メイド・イン・アースのものづくり、販売活動におけるすべてのエネルギーを、グリーンにしたい。今、自由が丘の直営店とオフィスの電力はグリーン電力証書を購入し、自然エネルギーで賄っています(※)。オフィスビルの屋上では綿花のプランター栽培で屋上緑化に取り組み始めるなど、まずはできるところから始めていますが、いつかはそれを全製造工程に広げていけたらと考えています。
※グリーン電力とは、太陽光発電や風力発電など、地球環境に負荷をかけない自然エネルギーで発電した電力のこと。今日本では自分たちの使う電力を選んで直接買うことはできないが、自分が使用する電力量を算出し、その分のグリーン電力の価値を「みなし」で買うことのできる「グリーン電力証書」を発行する事業が普及している。
(聞き手・文/キタハラマドカ@メイド・イン・アースPRESS担当)