藍絽座の風間幸造さん。本藍染めを伝えるために体験ワークショップなどもおこなっている

立春を過ぎたとはいえまだ寒さ厳しい2月上旬、メイド・イン・アースのスタッフ一行は、栃木県は足利市に向かいました。かつて染織で栄えた足利の街並には、仕立屋や染工場が点在しています。私たちが訪れたのは藍染め工房「藍絽座（あいろざ）」。代表の風間幸造さんは、元々は染工場の2代目で、型友禅の糊おき職人を経て藍染め工房に弟子入りし、2011年8月に自分の工房「藍絽座」を立ち上げました。

風間さんは、日本一の藍の産地・徳島県の藍師から「すくも」を取り寄せ、藍染めをしています。すくもとは、タデ科の一年草である藍を刈り取り、葉と茎を選別して天日で乾燥、その後「寝床」と呼ばれる蔵で9月上旬から約100日の間発酵させ、堆肥をつくる要領で切り返しては熟成させたもの。風間さんはすくものことを「藍の腐葉土のようなもの」と言います。徳島に現存している藍師さんは5軒だけ。伝統の技術に裏打ちされた職人芸のすくもは、藍を建てる（藍染め用の染液をつくる）際に何とも言えぬあまい発酵臭を醸し出します。

メイド・イン・アースの純オーガニックコットン製品は、製造工程でも化学的な染色や漂白を行わないため、天然のコットンの風合いが生きています。これまでも、茜や矢車附子（やしゃぶし）など、植物の根や実を使い、天然の生地に天然の色を移し出してきました。

上品で深みのある天然の色には、実は様々な力が秘められています。例えば茜ならば浄血や保温。そして藍は、抗菌や解毒などの作用があると昔から重宝されてきました。戦国武士は鎧の下に藍染めの衣類を身にまとうことで、万が一矢の傷を負っても止血できると信じていたそうです。アブラナ科の藍の根っこを煎じたお茶「板藍根（ばんらんこん）」は漢方薬としても知られ、抗ウィルス作用、解熱作用、免疫力の向上効果があると言われています。

風間さんは藍のパワーに魅せられた一人。藍染めの服を来て外で作業をしていると、夏でも不思議と蚊に刺されないそうです。お客さんの中には藍染めの五本指ソックスで水虫がよくなった、アトピー性皮膚炎などの肌トラブルが快方に向かった方もいるといいます。

風間さんは昔ながらの藍染めの方法を再現しようと、独自で研究を重ねています。

こちらが“藍のはな”。藍が建っているかどうかの目印になる

藍は発酵し続けて、還元酵素を作り続けています。まさに菌が生きているので、うまく藍が建たなかったり、発酵を保てないこともあります。風間さんは子どもを育てるように、毎日、藍の様子をみて、その時に藍が何を欲して、何を必要としているかを対話しながら、昔から続けられてきた方法で藍染めをしています。

メイド・イン・アースのラフィ吊天竺Tシャツを染液に浸すと……

最初はグリーンがかった藍色に染まった！

染めの工程を繰り返すうちに、どんどん濃い藍に染まっていくのがわかる

さて、メイド・イン・アースのラフィ吊天竺Tシャツを染色してみることに。

藍瓶の中のインジゴ（藍色）は時間と染められた回数で変化していきます。建てたばかりの藍はインジゴがたくさん存在するために勢いのある濃い色、少し使いこんだ藍は落ち着いた色、そして終わり頃の藍は薄い水色へと、染めの風合いも変わります。最後まで藍の色素を繊維へと移すには、藍の発酵を保ち、還元を循環させなくてはなりません。藍染めは、染液に被染物を浸し、空気に触れさせて酸化し、浸し……と回数を重ねて欲しい藍色へと染めていきます。

みるみるうちにグリーンがかったTシャツが藍の色に変化します。色の移り変わりに驚きの表情を隠せなかったわたしたちスタッフです。

藍絽座の風間幸造さん。本藍染めを伝えるために体験ワークショップなどもおこなっている

「藍の色と一緒に、薬効成分が繊維に移るんですよね。」（風間さん）

風間さんとの藍染め談義は尽きることなく、よりよい精錬方法についても議論ができました。この春から、直営店限定で藍染めのラフィ吊天竺Tシャツや五本指ソックスを販売しています。今後も、藍をはじめとした様々なチカラのある天然の植物で染め、純オーガニックコットンの可能性を広げていきます。

■天然藍　メイドインアースのTシャツ【度詰天竺/藍】
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■天然藍　アームカバー【薄手/藍】
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